高橋竹山コンサートレポート



2012年10月21日、NSP(ENO證誠プロジェクト)の初イベントとして、2代目高橋竹山氏のコンサートが證誠寺にて行われた。

 津軽三味線は、今日まで過ごしてきた私にとっては縁遠く、初めて聞く音色や歌であった。静かな三味線の旋律が会場に響き渡り、それは時に力強く、時に繊細にして、多彩な音色を奏でていった。約180年前に生まれた音は廃ることなく、色とりどりの音色を響かせる三味線のそれを受けた私は、今まで感じたことのない世界に圧倒されるばかりであり、それはまるでその当時生活していた人々の活気ある声や、その土地の声が聞こえてくるようであった。



 津軽三味線の音色と共に見えてきたものは四季折々の風景であった。最初は緩やかに穏やかに、そして徐々に力強く弾かれる弦の音は、まるで人間・自然が生まれ持った生命のエネルギーを沸々と湧き上がらせるものであった。自然と背筋が伸び、音と共に心の旋律までもが、ぴんと張っていくようだった。七色では収まりきらない交差する津軽三味線の繊細な音色と、竹山氏の歌声が重なった時、その音の世界はより大きく創大なものへと変化し、多様に折重なる津軽三味線の音の世界に私は感動した。



 演奏が終わると共に、盛大になっていく拍手を耳にするたびに「あぁ、私だけでなく会場にいるみんなの心にも響くものがあったのだ。」と感じた。そして、竹山氏と観客が一緒に声を重ねて歌っていた時、私は何かしら心からあたたかいものが湧き上がってくるのを感じた。楽しそうに、嬉しそうに手拍子を交えてみんなで奏でられる歌は、津軽三味線だけでなく、人の心が一体となることによって初めて生まれるのだと思った。



 演奏が終わり、帰宅の途へ着く観客たちの顔は誰もが笑顔で、「来てよかった」と何度も何度も繰り返し言って帰られる方もおられた。今回のイベントを通して、私は「人の心」を通じて感動や幸せを伝えられることを改めて感じた。みんなが笑顔で帰宅していく姿がとても嬉しく、NSPとしてこれから取り組むことは、人を、心を笑顔にできるイベントに取り組んでいくことだと私は思った。今回のコンサートは、まだ右も左も分からない私たちNSPのメンバーに、これから何を目指して何に取り組むべきか道標を示してくれたと思った。



 今回、無事に高橋竹山コンサートを證誠寺にて開催できましたことに、竹山氏をはじめといたしましてご協力いただきました人々に感謝申し上げますと共に、同時に安堵し又次回に向けまして多くの課題も見つかったのではと感じたのも、私自身正直なところでもある。これからも、竹山氏のように凛とした姿勢で、思いやりを持ちながら、1人でも多くの人を笑顔にできるイベントを行っていきたい。

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